士別軌道モノコックバスに乗ろう!

 
まず、鉄ヲタとしては士別軌道という社名に惹かれませんか。
 士別軌道は、現在はバス会社ですが、お察しのとおり、かつては鉄道会社でした。林業輸送を主目的としたナローゲージの鉄道でしたが、旅客輸送は1955年(昭和30年)、貨物輸送は1959年(昭和34年)にやめて廃線となったそうです。今から60年近く前に鉄道を廃止しながら、今でも「軌道」を名乗り続けるのは、自社のルーツを大切にしているのでしょうか。それとも、他のバス会社とは違うんだぜ、という意地でしょうか。このような、かつては鉄道会社で、鉄道廃止後も社名だけは鉄道を名乗る会社は意外に多く、我が地元の旭川電気軌道などはその代表格とも言えるでしょうか。筆者は、以前、興味があってこんな調べものをしたことがあります。→
 ハイ余談でございました。
 本題いきます。まず「モノコックバス」という言葉をご存知でしょうか。
 現在のバスはスケルトン構造といって、鉄骨で車体の骨格(スケルトン)を作り、そこに外板となる鉄板を張っていく構造になっています。それに対してモノコックバスは、モノコック構造といって、車体に骨格はなく、その代わり、外板自体に強度を持たせた構造になっています。この構造は1980年代までは主流でしたが、今はスケルトンバスに取って変わられ、現在で現役で残るものは全国でもわずか。この士別軌道は、そんな希少なモノコックバスを所有し、しかも定期的な運用に就かせている全国的にも稀有な会社だそうです。もちろん北海道では、このバスが現役唯一の存在!
 士別軌道のモノコックバスは、日野K-RC301Pという形式で1982年(昭和57年)の製造。もとは和寒町の送迎バスとして使用されていた車両だそうです。車齢は30年強。鉄道車両よりずっと寿命が短いバスにあって、これだけの長寿は奇跡的なことですね。
 バスは、ほぼ素人の筆者ゆえ、バス自体の詳しい解説は、他のサイトやブログに譲ります。ただ、訪問の仕方、乗り方にスポットをあてた紹介はあまり見ませんので、その方面から詳しく紹介しようと思います。旭川に来たら、少し足を延ばして、士別で昔懐かしいモノコックバスに乗ってみませんか。



 まずは、モノコックバスのプロポーションを、前後左右室内、 なめるようにご紹介しましょう!
   
 
 
   


モノコックバスの運行スケジュールと、アクセス方法
 士別軌道のモノコックバスは、夏ダイヤ期間中の学校開校日(おおむね夏休み期間以外の平日)に、中多寄線の区間便として朝に片道1便のみ運行されています。
 そのダイヤは、30線西3号0750発→多寄0758発→士別駅前0815着というもの。士別にある車庫から30線西3号までの往路は回送となります。
 このモノコックバスに乗るためには、旭川から宗谷本線の始発列車に乗り、旭川0605発―(宗谷本線321D)→0717着 士別/士別駅前0720発―(士別軌道中多寄線風連行)→0743 30線西3号着というスケジュールで、訪問できそうな気がしますが、一筋縄ではいきません。この朝イチの列車は通学列車として機能していますが、充当されるのが2ドア・デッキ付きのキハ54ゆえに乗降に時間がかかり、遅れが慢性化しています。恐らく士別での乗り換えは至難であると思われます。

 
    
 高校生でごったがえす平日朝の士別駅
 
  多寄バス停

 ちなみに筆者は士別での乗り換えに間に合わず、駅前からタクシーで30線西3号に行ってもらいました。3,000円以上かかった記憶があります。
 もし安くあげたいのであれば、士別では降りず、その先の多寄(0727着)で降り、駅前の多寄バス停から中多寄線風連行(07:35発)に乗り換えて30線西3号を目指すのがベストと思われます。万一宗谷本線の普通列車が遅延し、多寄でバス に乗り継ぐことができなくても、そのまま待っていれば、30線西3号発のモノコックバスが多寄に0758に到着しますので、それに乗って士別に戻れば、運行全路線とはいきませんが、少なくともモノコックバスへの乗車はかないます。
 
※このサイトの情報は、あくまでも参考情報です。実際のモノコックバスの運行状況や、ダイヤについてはバス会社にお問い合わせください。




訪問記
     

 宗谷線が遅延して、乗るはずだったバスに乗り遅れてしまったので、やむをえずタクシーで30線西3号に向かいます。


 
モノコックバスが充当される中多寄線区間便の始発バス停30線西3号付近に到着。周辺は見事に何もありません。

     
 
この掘っ建て小屋は何かと思いきや、これがバス停でした。

   
しばらくするとバスがやってきます。乗り遅れてしまった7時35分士別駅前発の風連行です。

     
 
さらに待つことしばし、真打の登場です。

   
バス停の向かい側が回転場になっていて、発車までそこに停車します。

     
 
士別~多寄~中多寄~30線3号

   
車体には、モノコック構造のバスの特徴であるリベットが打ち付けてあるのが分かりますでしょうか。

     
 
では車内に入りましょう。

   
座席は一人がけと二人がけがあります。これは一人掛け。

     
 
こちらは二人掛け。カバーもかかっていてちょっと豪華な感じですよね。

   
リベットの目立つ屋根。

     
 
出口扉の上にある「お願い」の注意書きも懐かしい感じ。

 
 ブレーキを踏むと明かりがつく「急停車にご注意」の表示。

     
 
では出発。

   
38線バス停。左が道北バス名寄線で右が士別軌道中多寄線のバス停です。
よく考えたら多寄から士別までの間は、JR北海道と道北バスと士別軌道の三社競合区間なのですね。恐るべし!

     
 
車窓風景。車窓の大半は、のどかな田園風景です。

   
士別駅前に到着。

     



 
士別駅前のバス停。書体がかっこいいと思いませんか。
それから、士別の市内循環バスはなんと30分毎の運行。人口2万人ちょっとの街の市内バスとしてはものすごーく頑張っている印象です。

   
私が撮影した動画を2点紹介しますね。
上の動画は定期運行時の車内動画。
下の動画はイベント貸し切り時のフォトランになります。

     
 
では、士別軌道の本社待合室と車庫に行ってみましょう。

   
本社に隣接のバス駐車場には、雑多なバスが並びます。一台として同じバスがない感じ。

     
 
士別~大和線で利用されている小型バス。

   
車庫撮影ではありませんが、士別~朝日線で使用されているバス。

     
 
市内循環線には、最新型のハイブリット車も入っています。小規模ながらも、恐ろしくバラエティに飛んだ車両陣を擁するバス会社ですね。

   
恐ろしく年期の入ったバス車庫。

     
 
バスの洗車機。

   
朝の一仕事を終えて、木造車庫の前で休むモノコックバス。

     
 
本社待合室。

   
待合室の椅子は廃車バスの流用かな。


士別軌道の訪問記は以上となります。
地方都市を拠点に頑張る小さなバス会社は、モノコックバスだけでない、ローカルバスの楽しさがいっぱい。
機会があればぜひ訪れてみてください!