4.リベンジ石渓

翌日の石渓には9時過ぎに到着。案の定というか、やはりというか今日も今日とて観光客でごったがえす石渓のホーム。重い気分に追い討ちをかける切符売り場の「座票已售完」の五文字。
なんですか?あの、収容所列車で立ちっぱなしのまま一時間耐え抜けと、こうおっしゃるんで?ああ、そうですか。
とはいえ他に選択肢はないので仕方がない。この立ち席切符を3元で購入。外人は特別扱いしてくれるという話はどうなっちゃったんでしょう。

ホーム隣接の食堂で朝食代わりの麺をすすっている間に、芭溝からの朝イチの折り返し便が到着。さらに30分後、二番列車が到着。この日は朝から続行運転しています。ここまでこの鉄道が活況を呈しているのであれば、蒸気がなくなることはないでしょう。それはそれでめでたいことではありますが、それは芭石鉄道の持っている魅力の多くを占めるローカルムードが失われることを意味しておりなんとも複雑な気分です。
さて10時発の一番列車がホームに入ってきましたよと。
ホームの真ん中あたりに固まっている愚民どもを尻目に私はホームの先端で列車を待ち構えます。列車の長さを計算すれば、だいたい機関車の次位の客車というベストポジションはこの位置になるはずなのです。ほらほら計算どおり。愚民どもがあわててこちらのほうまで群がってきますが、もう遅い。先頭車に真っ先に乗り込むのは、この私なのだよ。こういう席取り合戦を鉄ヲタと競争するのは無謀だったね、チミたち。と、ほくそ笑みながら、いかにもそこらへんの鉄板で適当に組み立ててみました的投げやり感の漂う客車内へ。もちろん座席も速攻でゲット。これで無座難民にならずにすんだ、なんだ無座切符でも普通に座れるじゃんと胸を撫で下ろす我々一行。さっきまで周囲を包んでいた深い霧もこの頃には晴れ渡っており、まるで我々の旅の前途を祝福するかのようです。
ところが、客車に入ってきた切符売り。
「あなたたちの切符は立ち席切符だから座れないよ」
と悪魔のような一言。
私なら仕方ないなと思い立つところですが、拙い中国語で子供がいるからなんとかしてくれ、お金ならもっと払うからとゴネまくる妻。
ということで10時発の列車を見送って、10時半の列車の工作車に乗車。
工作車といっても、客車のつくり自体は他の客車と変わらず鉄板を箱にして窓をくりぬいただけのシロモノ。でも、変わらず観光客でスシ詰めの他の客車を尻目に、ガラガラの車内で足を伸ばしてくつろげるのは悪くない。妻は、チラチラ羨ましそうにのぞきこむ視線に多少の居心地の悪さを感じているようだが、私は
「悪いね、ここ、外人専用なんだ」
と、スネオイズム全開で優越感に浸ってしまいました。スマソ。
しかし我々の貸切状態になると思われた工作車ですが、出発直前になって、私の持っているカメラの推定3倍以上の値段はすると思われる高級カメラをぶら下げた身なりのよいおじさん、おばさんたちが乗り込んできました。おそらく、われわれも15元払うから乗せろと交渉したのでしょうか?

結局、日本人であることが分かり、日本人なら切符売り場で切符を買ったら駄目だよ。警備上の問題があるから乗警に直接言って、工作車という乗警の乗る車両に乗らないとだめだよ。料金は一人15元だけど、さっき3元払ってるから差額の12元を払ってくれればいいよ。子供は切符はいらないよ。この列車に工作車はないから、すぐ次に出る車両に乗って。などとトントン拍子に話しが運び乗警と面通しまでさせてもらえた。ありがたいことです。
ということで10時発の列車を見送って、10時半の列車の工作車に乗車。
工作車といっても、客車のつくり自体は他の客車と変わらず鉄板を箱にして窓をくりぬいただけのシロモノ。でも、変わらず観光客でスシ詰めの他の客車を尻目に、ガラガラの車内で足を伸ばしてくつろげるのは悪くない。妻は、チラチラ羨ましそうにのぞきこむ視線に多少の居心地の悪さを感じているようだが、私は
「悪いね、ここ、外人専用なんだ」
と、スネオイズム全開で優越感に浸ってしまいました。スマソ。
しかし我々の貸切状態になると思われた工作車ですが、出発直前になって、私の持っているカメラの推定3倍以上の値段はすると思われる高級カメラをぶら下げた身なりのよいおじさん、おばさんたちが乗り込んできました。おそらく、われわれも15元払うから乗せろと交渉したのでしょうか?

5.石渓→蜜蜂岩