鶴崗煤砿鉄道車両紹介

上游(SY)形蒸気機関車
DETA

製造年 1960〜1996年
全長  21643mm(テンダー込み)
全幅  3300mm
全高  4446mm
自重  75.5t(空車時)
動輪配置 1-D-1
設計最高速度 80km/h
 上游形は日本製の旧満鉄ミカロ形(→解放6形)をベースに改良を加えた炭鉱、支線運転用の蒸気機関車で1960年からなんと1996年まで足掛け40年近くにわたって総計1765両が製造されています。
 近年、急速に数を減らしつつあるとはいえ、未だに全国の工場や専用線でその姿を見ることができる、現役の中国蒸気の中でももっともありふれた形式です。
 鶴崗の炭鉱鉄道では旅客列車を牽引するのはもっぱらこの上游形の仕事。他に一部貨物列車も牽引しているようです。
上游3013  興山
上游形はテンダー式機関車です。
テンダ側から。
上游3014 集配
上游形フロントビュー。
上游3013  興山
正面に立派な装飾を施された機関車もあります。
上游0905  集配

硬座客車 YZ22
DETA

製造年  1959〜1992年
全長    24538mm
車体長  23600mm
全幅   3279mm
全高   4422mm
自重    43t
定員    118
 中国客車の一世代前の標準形式22系を代表する硬座車。日本でいえば「ハ」に相当する形式です。おそらく中国で、いや世界で最も多く製造された客車ではないでしょうか。一昔前の中国の客車といえば、このタイプばかりがずらずら十数両連なっていたものですが、さすがに最近はエアコンつきの新形客車におされ気味で優等運用からはほぼ撤退しています。
 鶴崗では未だに主力として活躍するこの客車は、おそらく国鉄をおいやられて払い下げられたものだと思います。
YZ22 1008 興山
車内はごらんのとおり。
原形はクロスシート車だが、クロスシートは全て撤去され、長い木製のロングシートになっています。
この他、原型のクロスシートのままの車両も存在します。そちらは禁煙車として使用されているようでした。
YZ22 車内

硬座客車YZ31
DETA

製造年  1982・1983年
全長    24539mm
車体長  23600mm
全幅   3279mm
全高   4422mm
自重    42t
定員    300
 表向きは都市近郊の通勤専用に製作された客車ですが、有事の際の解放軍輸送用の寝台車にするという計画があり、そのため容易に転用改造できるような構造になっているそうです。
 通勤用らしくデッキなしで幅1350mmの両開扉を持っていますが、もちろん扉は自動ではなく手動式。
 生産両数が少なかったこともあり、現在国鉄線上ではほとんど見かけることはありませんが、ここにはどっこい健在です。
YZ31 1035 集配
車内には木製のベンチが並びます。なんとなく、和田岬線を走っていたオハフ64を思い起こさせます。
YZ31 車内

軟硬座合造客車 RYZ22
DETA

製造年  1983年
全長    24539mm
車体長  23600mm
全幅   3279mm
全高   4422mm
自重    44.2t
定員    軟座32/硬座58

非常に珍しい硬座車と軟座車の合造車で鶴崗では1018・1019の2両が在籍しているようです。日本式にいうと「オロハ」とか「スロハ」に相当します。
資料によればRYZ22形は1983年唐山機車車両廠製で全30両が製造されたようです。おそらくそのうちの2両が、鶴崗に払い下げられたものと思われます。
状態は良いのですが検修区の一番奥に留置されていて、滅多に動くことはないもよう。炭鉱のお偉いさんが視察するときにでも使用するのでしょうか?
RYZ22 1019 検修区
妻面には国鉄マークと哈局(ハルピン鉄道局)牡段(牡丹江車両段)の表記が残っていました。おそらく国鉄時代は牡丹江地区で使用されていたのでしょう。
RYZ22 1019 検修区
事業用客車
興安駅の外れに置いてある満鉄車両の成れの果てと思われる車両。
妻面は鋼製ですが、車体自体は木製という面白い構造をしています。
現在は作業員宿舎として使用されています。
工務段工程専用車 興安
こちらが側面からの画像。窓を埋めた跡があるのがわかります。
工務段工程専用車 興安
中も見せてもらいました。
相当な年代ものの客車ですが、意外にしっかりしています。
工務段工程専用車 興安
台車はこのような古めかしいものを履いています。
工務段工程専用車 興安
研修区の廃車置場のようなところに置かれていた車両で救援車という表記がありました。
22系客車をぶった切って短縮したような車体に貨車用の台車を履いたゲテモノ客車です。
救援車 910 検修区
電気機関車
 上游形蒸気機関車ばかりがクローズアップされてしまいがちですが、この鉄道実は電化(直流1500V)されていまして、本当の主力は電気機関車です。こちらはこちらで凸形の渋いデザインでなかなか味わいがあります。
 電気機関車は様々形式があるようで、おそらく全てを紹介できてはいないと思いますが、見かけたものをご紹介します。
 まずは、一番多くみかけたタイプの電機機関車2300形。民主徳国製といいますから東ドイツ製ですね。
2307  集配
正面から。
いかにも野武士然としたいかつい面構えがいいです。
2308  集配
2300形電気機関車の銘盤
直流工業電機車
型号 EL2/23
工作電圧 1500V
小時効率 1400kw
連続効率 1160kw
小時牽引力 16700kg
連続牽引力 12900kg
最大牽引力 30t
最小曲率 50m
最大速度 70km/h
工作重量 100t
総長    13545mm
全寛    3200mm
高度    4050mm
徳意志民主共和国 LEW-HENNINGSDORF
こちらは1800形。
2300形と似たようなデザインの機関車です。
1801  検修区
1800形サイドビュー。
1801  検修区
1500形。
永久2両連結式のいわゆるクロコダイル形大型機です。
興安以遠で使用されています。
1502  峻立
1400形。
どうやらすでに廃車されているもののようで同タイプの電機が何両も雨ざらしで放置されていました。
1412  検修区
1000形。
機関車の運転手さんの話によれば日本製だそうです。
撫順にも似たようなデザインの日本製機関車があり、そちらは三菱製との情報をいただきました。この機関車もおそらく三菱製と思われます。
1009  検修区
1000形サイドビュー。
電気機関車では唯一黒塗りです。
1009  検修区
1000形正面。
残念ながらこの機関車もすでに現役は退いている様子でした。
1009  検修区