北陸鉄道2013

車両
1.鉄道所属車
 鉄道線は、浅野川線(内灘〜北鉄金沢)、石川線(北鉄金沢〜加賀一の宮)、金名線(加賀一の宮〜白山下)、白山線(白山下〜荻町)の4路線で構成され、かつて廃止された能美線(昭和55年廃止)も併せて石川総線と呼ばれることもある。路線規格は各路線ともに軌間1067mm、電圧は直流600Vに統一されているが、50‰を越える急勾配と急曲線の連続する白山線については、白帯を巻いた専用車両のみが充当されている。
 車両は、数年前までは若い自社発注車と名鉄、京成、静岡鉄道といった他車からの譲受車から自社発注のロマンスカーまで多種多用な車両が在籍していたが、近年は南海および名鉄からの多数の譲渡車により車種は大幅に整理されている。特に名鉄車からは、ここ10年ほどで32両を購入しており、まるで名鉄の支線のような様相を呈している。

モハ8001+クハ8051
●モハ8000形 4両 クハ8050形 4両(8001〜04+8051〜54)
 もと名鉄3300系。もともと名鉄3300系は3850形、3900形等旧型釣掛車の車体更新車であり、車体の経年は浅かったにもかかわらず廃車になったため、北陸鉄道に譲渡されることとなった。名鉄時代は3両固定編成であったが、入線にあたっては中間車を抜いて2両編成となり、降圧改造を施されて平成15年に入線。白山線を除く鉄道線で運用されている。平成21年には制動装置がHSC化されている。



モハ8101+クハ8151
●モハ8100形 5両・クハ8150形 5両(8101〜05+8151〜55)
 もと名鉄6750系。名鉄6750系は、昭和61年製の一次車と平成2年製造の二次車に分けられ、それぞれスタイルが異なるが、北陸鉄道8100形は2次車をルーツとする。旧型車の走り装置を流用した釣掛駆動車であり、同方式の車両としては大手私鉄で最後まで残った車両であったが、平成19年と21年に廃車となり、北陸鉄道に入線している。入線に際しては降圧、制動装置のHSC化等の改造が施された。


モハ8201+クハ8251
●モハ8200形 5両・クハ8250形 5両(8201〜05+8251〜55)
 8200形と同じく、もと名鉄の6750系の二次車だが、こちらは中間車のモ6780形とサ6680形が種車となっているため、北陸鉄道への入線に際して名鉄7700系の運転台を用いて先頭車化改造がなされている。北陸鉄道への入線は平成20年と22年。


モハ8301+クハ8351
●モハ8300形 2両・クハ8350形 2両(8301・02+8351・52)
 8100形や8200形と同じく名鉄6750系を出自とするが、こちらは昭和61年製の一次車で、二次車とはかなりスタイルが異にしている。平成21年に2連2本が北陸鉄道入り。入線にあたっては他の8000系列同様に、降圧、制動装置のHSC化等の改造が施された。

モハ6021+モハ6032(はくさん号)

モハ6031+モハ6022(はくさん号)
●モハ6020系 2両(6021・6022)
●モハ6030系 2両(6031・6032)
 昭和47年に開通した観光路線、白山線にふさわしい特急車両として登場したロマンスカー。前面展望付きの車両は6020形、貫通型の車両は6030形となっているが、通常は両者を併結した2両編成で運用されている。昭和46年日本車両製で、車体は名鉄パノラマカーの影響を強く受けたデザインとなっているが、急カーブの連続する山岳路線を走行するため、全長は7020形が17.9m、7030形が17.5mに抑えられている。また車体断面形状は「くたに」号等と同一であり、本家と比べるとやや角ばったザインである。登場後より現在まで北陸鉄道のエースとして君臨。本家のパノラマカーが引退した現在、ファンの人気はますます高まっているようだ。


モハ5821+モハ5822
●モハ5820系 4両(5821〜5824)
 元南海ズームカー21000系で平成10年に2連2本が入線。もともと南海線の勾配区間を走行するために登場した形式であり、北鉄転入後も山岳路線である白川線直通車としてその性能をいかんなく発揮している。北陸鉄道転入時の主な改装点は、制御方式が1C4M制御に改められたこと、扉間の座席をロングシートから転換クロスシートに変更されたことである。



モハ5831+モハ5832
●モハ5830形 6両(5831〜5836)
 元南海ズームカー22000系で平成12年に2連3本が入線。21000系の増備車で角ばった車体のなったため通称角ズームと呼ばれている。21000系と同じく白川線直通車として使用。運用は鶴来までは平坦線用の車両と併結した4両編成で走り、鶴来から2両編成になるというもの。このため平坦線区間では南海車と名鉄車の併結という、今では少なくなった産まれも育ちも違う車両同士の連結風景を見ることができる。

車両緒元表
形式番号 車番 最大寸法 自重 台車 主電動機形式 主電動機出力 主制御器形式 制動装置 製造年月 製造所 前所有者・備考
全長 全幅 全高
モハ8000 8001〜04 18900 2740 4200 36.5 FS107 TDK528/18PM 90kw×4 ES568-A HSC 昭62 日本車輌 元名鉄モ3301〜3304・平15入線
クハ8050 8051〜54 18900 2740 4200 31.5 FS13 - HSC 昭62 日本車輌 元名鉄ク2301〜2304・平15入線
モハ8100 8101〜05 18900 2740 4200 36.5 FS107 TDK528/18PM 90kw×4 ES568-A HSC 平2.6 日本車輌 元名鉄モ6753〜6757・平19・21年入線
クハ8150 8151〜55 18900 2740 3880 31.5 FS13 - - - HSC 平2.6 日本車輌 元名鉄ク6653〜6657・平19・21年入線
モハ8200 8201〜05 18890 2740 4200 36.5 FS107 TDK528/18PM 90kw×4 ES568-A HSC 平2.6 日本車輌 元名鉄モ6783〜6787・平20・22年入線
クハ8250 8251〜55 18890 2740 3880 31.5 FS35 - - - HSC 平2.6 日本車輌 元名鉄サ6783〜6787・平20・22年入線
モハ8300 8301・02 18950 2730 4200 36.0 FS16 TDK528/12KM 90kw×4 ES568-A HSC 昭61.3 日本車輌 元名鉄モ6751・6752・平21年入線
クハ8350 8351・52 18950 2730 3880 31.0 FS16 - - - HSC 昭61.3 日本車輌 元名鉄モ6651・6652・平21年入線
モハ6020(奇数) 6021 17900 2730 4020 36.6 ND109 TDK820-B 75kw×4 ACD-10 HSC-D 昭47 日本車輌
モハ6020(偶数) 6022 17900 2730 3880 35.3 ND109 TDK820-B 75kw×4 ACD-10 HSC-D 昭47 日本車輌
モハ6030(奇数) 6031 17500 2730 4020 35.6 ND109 TDK820-B 75kw×4 ACD-10 HSC-D 昭47 日本車輌
モハ6030(偶数) 6032 17500 2730 3880 34.3 ND109 TDK820-B 75kw×4 ACD-10 HSC-D 昭47 日本車輌
モハ5820(奇数) 5821・23 17725 2740 4000 37.0 FS317A TDK820-B 70kw×4 MMC-HTB-20D HSC-D 昭37.7〜39.7 帝国車輌 元南海モハ21007・21015・平10年入線
モハ5820(偶数) 5822・24 17725 2740 3990 36.5 FS317A TDK820-E 70kw×4 MMC-HTB-20D HSC-D 昭37.7〜39.7 帝国車輌 元南海モハ21008・21016・平10年入線
モハ5830(奇数) 5831・33・35 17725 2740 4000 37.0 FS317A TDK820-B 70kw×4 MMC-HTB-20D HSC-D 昭44.10〜45.10 東急車輌 元南海モハ22001・22017・22021・平12年入線
モハ5830(偶数) 5832・34・36 17725 2740 3990 35.5 FS317A TDK820-E 70kw×4 MMC-HTB-20D HSC-D 昭44.10〜45.10 東急車輌 元南海モハ22002・22018・22022・平12年入線


 2.軌道線所属車
  金石線は現存する北陸鉄道路線では唯一軌道法に準拠する路線であり、軌道線と呼ばれている。かつては昭和30年代初頭〜40年代初頭にかけて各路線に登場した多彩な自社発注の小型車が集結していたが、近年は名古屋市からの譲渡車が増え、近代的な陣容になりつつある。サイドリザベーション方式で道路と分離されているとはいえ、一部に併用軌道を走行するため前面に排障器を備えているのが、全車に共通する外観上の特色だ。
  軌道線車両は武蔵が辻〜大野港までの金石線内のほか、ラッシュ時には石川線の新西金沢まで顔を出したり、4両編成で石川線内を走ることもあるなど、幅広く運用されている。

モハ6501+クハ1301
●モハ6500形 1両(6501)
昭和43年日本車輌製。一連の自社発注小型車群の中では最後に投入された車両で、その最後の生き残りでもある。新製時に浅野川線に投入されたあと、昭和48年に軌道線(金石線)に転属。その後、今に至るまで軌道線で活躍。平成6年には冷房改造、制動装置のHSC化が施工された。

●クハ1300形 2両(1301・1302)
昭和47年日本車輌製。昭和49年の野町〜北鉄金沢間の開通と合わせ、軌道線の中橋〜武蔵が辻間が地下線で開通し、石川総線との連絡、乗り入れが開始されることとなった。これにより需要の増加が予想されたため、既存の車両を2両固定編成とするために増備されたのがクハ1300形、1310形であり、低出力の在来車の負担を軽減するためアルミ車体(但し車体は塗装済み)を採用し、極限まで軽量化を図られているのが特徴である。なおクハ1300形は全長14.4mで、全長15.6mの在来小型車と連結しても、軌道法の規定いっぱいの編成長30m以内に収まるよう配慮されている。


モハ6561+クハ1311

モハ6562+クハ1302
●モハ6561形 2両(6561・6562)
平成6年武庫川車両製。もともと野上電鉄が開業80周年を記念して発注した車両だが、野上電鉄は平成6年に廃線、会社解散となってしまい、すでに半分ほど鋼体が出来上がっていた当車の行先は宙に浮いてしまう格好となった。この注文流れ品に目を付けた北陸鉄道が、在来小型車の置き換え用に格安で引きとったとされている。主要機器類は中古品を活用しており、この時代の新型車としては珍しく抵抗制御を採用するなど性能的に特別すべきものはないが、軌道線では初の冷房車で旅客サービスの向上には大きく貢献した。
●クハ1310形 1両(1311)
昭和48年日本車両製。クハ1300形と同様の経緯で製造されたアルミ車体を持つ車両だが全長15mとクハ1300形に比べ0.6m長くなり、窓配置も異なっている。



モハ1001+モハ1002
●モハ1000形 8両(1001〜1008)
元名古屋市交通局5000系で、在来車の置き換え用に平成20年〜22年にかけて4編成8両が購入。もともと名古屋市5000系は両端の先頭車が、モーター無しの制御車であったためその電装工事が行われた。また集電方式は第三軌条式だったため、これを架空線式に改造してパンタグラフを搭載、もともと標準軌であったため狭軌用の台車を新製してこれと交換、在来車との併結を可能にするため、ブレーキの読み替え装置を搭載する等、入線に際してはかなりの手が加えられた。現在軌道線の主力車として活躍している。

車両緒元表
形式番号 車番 最大寸法 自重 台車 主電動機形式 主電動機出力 主制御器形式 制動装置 製造年月 製造所 前所有者・備考
全長 全幅 全高
モハ6500 6501 15600 2710 3960 25.0 ND109 TDK820-3-D 75kw×4 ES571-C HSC 昭43.4 日本車輌
モハ6560 6561・62 14740 2650 3950 26.0 FS397 MB3054-D2 60kw×4 ABFM-104-6MDA HSC 平6.3 武庫川車輌
モハ1000 1001・03・05・07 15580 2558 3850 24.5 ND741 MB3255A 95kw×4 自動可変界磁式(AVF)チョッパ制御 MBS-R 昭57 日本車輌 名古屋市5106・10・05・07 平20〜22年入線
モハ1000 1002・04・06・08 15580 2558 3600 24.0 ND741 MB3255A 95kw×4 - MBS-R 昭57 日本車輌 名古屋市5606・10・05・07 平20〜22年入線
クハ1300 1301・1302 14400 2710 3820 17.0 NA18 - - - HSC 昭47 日本車輌
クハ1350 1311 15000 2710 3820 17.5 NA18 - - - HSC 昭48 日本車輌