妄想コラム2 妄想市電の輸送力と運転系統に関する一考察(市電南北線編)…その2

3 市電南北線の運転間隔・運転系統の検証


 それでは、ここまでに得られたデータや必須設定をもとに架空世界におけLRT南北線の合理的な運転間隔や運転系統を実際に検証してみたいと思います。


●3−1…石狩開発鉄道各線と南北線新琴似〜北24条間について

■南北線新琴似〜北24条間1時間あたり列車床総面積の値の修正
 
市電南北線の新琴似〜北24条間は南北線のボトルネックにあたる区間です。この区間が併用軌道区間となっているため、軌道法のからみで車体長さは各駅停車は三車体連接車×1両、併用軌道上の電停は通過する急行でさえも三車体連接車×2両に制限されラッシュ時でも増結は不可能です(●2-3で検証)。
 また、現実世界の南北線朝ラッシュ時1時間あたりの床下総面積は●1-1で計算したように5508u。これに●2-1、●2-2で検証した、石狩市への新線の開業や新琴似でのアクセス改善分の需要増を考慮(増加分はそれぞれ72uと1044u)しなくてはなりません。つまり5508u+72u+1044u=6624u分の列車床総面積を出さなければ、必要にして充分な輸送力を確保できないということになります。
 下表では、新琴似〜北24条間の軌道法によって制限された列車長の中で、1時間あたりの列車床総面積5508uを確保するにはどのくらいの運転間隔で運行しなくてはならないかを計算したものです。
予想される運転間隔(南北線新琴似〜北24条間)
運転間隔 運用車輛の
車体幅×車体長m×連結両数=車輛総面積
1時間あたり本数(運転間隔) 1時間あたり列車床面積(u)
(車輛総面積×1時間あたり本数)
@ラッシュ時運転間隔1分30秒と仮定 (普通)車体幅2.4m×車体長30m×連結両数1両=72u
(急行)車体幅2.4m×車体長30m×連結両数2両=144u
普通と急行の運転比率を1:2と仮定した場合、一列車あたりの平均車輛総面積は120u。
55.2本
(普通18.4・急行36.8)
(平均約1分5秒ヘッド)
1時間あたり車輛総面積6624u
 その結果平均1分5秒間隔の超過密運転をしなくては、乗客を運びきれないことになりました。乗客の乗降に手間取るラッシュ時にこの運転間隔を維持するのはちょっと無理な相談というものです。ではやはり南北線に市電を走らせることはあきらめなくてはならないのでしょうか?
 いやいや、まだ救いはあります。そもそも新琴似〜北24条は南北線の末端区間。●1-1で出した1時間あたりの列車床総面積は最混雑区間を想定しての数値ですから、末端区間であれば、そもそも過剰気味の数値と言えるかもしれません。そこで、過剰と思われる新琴似〜北24条間の1時間あたりの列車床総面積を適正値に修正してみましょう。
南北線駅別乗車人員
(一日平均)
s駅名 乗車人員 朝ラッシュ時の主な乗客流動
麻生 26905 乗車
北34条 6028 乗車
北24条 14669 乗車
北18条 7823 乗車
北12条 5366 乗車
さっぽろ 52575 乗車・下車
大通 28800 乗車・下車
すすきの 19561 乗車・下車
中島公園 10452 乗車
幌平橋 5276 乗車
中の島 5494 乗車
平岸 6683 乗車
南平岸 8042 乗車
澄川 11559 乗車
自衛隊前 4411 乗車
真駒内 16807 乗車
   右表は平成13年度の南北線駅別乗車数を表にしたものです(データは札幌市交通局公式ホームページより引用しました)。それに加えて私の個人的な主観による朝ラッシュ時の乗客流動も加えてみました。

 さて、この表に基づき妄想世界での新琴似〜北24条間のラッシュ時1時間あたり列車床総面積の値を修正してみます。朝ラッシュ時の麻生〜北12条間は主観ですが95%以上の乗客がさっぽろ以南に向かうと思われますので、この間の乗車人員は麻生から南下し続けるにつれて増加し続けると考えていいでしょう。一日平均麻生〜北12条間の総計で60791人−@、麻生〜北34条間の総計は32953人−Aとなり、A÷@は約0.54。つまり、朝ラッシュ時も一日平均も各駅からの乗車割合は変わらないと仮定すれば(そうしないと話が進まない)、麻生〜北24条間の1時間あたり列車床総面積は北24条以南の0.54%、多めにみて6割程度あれば充分と考えられます。

 そこで、この区間の1時間あたり列車床総面積の値の修正です。現実世界の南北線を参考に5508u(●1-1にて検証)という値を使っていましたが、上記検証により麻生〜北24条間だけに限定すれば、この六割程度、つまり3304uで足りるという事が分かりました。よって3304u(修正された基準値)+石狩開発石狩線(花畔〜新琴似)開通による新規需要増72u(●2-1にて検証)+新琴似での石狩開発鉄道とのアクセス向上による新規需要増1044u(●2-2にて検証)=4420uが妄想世界の市電南北線新琴似〜北24条間に必要な1時間あたりの列車総面積となります。この新基準値に基づいて、市電南北線北方向の朝ラッシュ時の運転間隔を試算してみると、以下の表のようになりました。
 
予想される運転間隔(南北線新琴似〜北24条間)
運転間隔 運用車輛の
車体幅×車体長m×連結両数=車輛総面積
1時間あたり本数(運転間隔) 1時間あたり列車床面積(u)
(車輛総面積×1時間あたり本数)
@ラッシュ時運転間隔2分30秒と仮定 (普通)車体幅2.4m×車体長30m×連結両数1両=72u
(急行)車体幅2.4m×車体長30m×連結両数2両=144u
普通と急行の運転比率を1:2と仮定した場合、一列車あたりの平均車輛総面積は120u。
24本
(普通8・急行16)
(平均2分30秒ヘッド)
1時間あたり車輛総面積2880u
新基準値4420u−2880u=
新基準値に1540u不足(混雑率(混雑率154%)
A同2分00秒と仮定 120u 30本
(普通10・急行20)

(平均2分00秒ヘッド)
1時間あたり車輛総面積3600u
新基準値4420u−3600u=
新基準値に820u不足(混雑率123%)
B同1分30秒と仮定
(これ以上運転間隔を詰めるのはおそらく無理?)
120u 40本
普通約13・急行約26)
(平均1分30秒ヘッド)
1時間あたり車輛総面積4800u
新基準値4420u−4800u=
新基準値より380u過剰(混雑率93%)

 この表によれば、北24条〜新琴似間のラッシュ時運転本数は、若干混雑はしますが、普通毎時10本(5分ヘッド)、
急行毎時20本(2分30秒)ヘッドで併せてラッシュ時1時間30本運行(平均2分ヘッド)とすれば、多少混雑(混雑率123%)しますがなんとかなりそうです。ラッシュ時1時間40本運行(平均1分30秒ヘッド)にすれば、かなり輸送力には余裕ができますが、さすがに運転間隔が2分を切る時間的な余裕のないダイヤにすることは避けたい気がします。

 多少混雑する部分については、運転系統を工夫することで乗客の流れを変えて解決したいと思います。主たる原因を作りだしているのは石狩開発学都線の「石狩当別」・「あいの里方面」から「新琴似」で南北線に乗り換える乗客と思われます(1時間あたり列車総面積1044u)。この乗客をそのまま石狩線に乗せて札幌駅前までひっぱって来ることができればだいぶ南北線の混雑は緩和されるはず。つまり学園都市線を南北線のバイパス路線にしてしまうのです。しかし、ただでは乗客の流れは変わりません。乗客の流れを変えるにはアメとムチが必要です。

 アメにあたる秘策は、学都線の急行運転です。学都線は南北線と同じく新琴似〜さっぽろを結んでいますが、南北線が二点間をほぼ一直線で結んでいるのに対して、学園都市線は桑園経由で大きく迂回しています。その分時間もかかるため利用者に嫌われ、大通り以遠ならともかく札幌に向かう乗客でさえも新琴似で南北線に乗り換えてしまうと思われます。そこで、この学園都市線の新琴似〜札幌駅前間に「新川通」一駅停車の急行をラッシュ時のみ走らせるのです。急行運転により「新琴似」〜「札幌駅前」間を南北線と同等の時間で結ぶことができれば、新琴似での学都線→南北線への潜在的乗り換え需要(1時間あたり列車総面積1044u)の半数程度の乗客は学園都市線に流れてくれるのではないでしょうか?

 現実世界では 札沼線「新琴似」→「札幌」間7.2kmを13分で走っています。一方地下鉄南北線は「麻生」→「さっぽろ」間 4.9kmを8分で結んでいます。しかしながらこの架空世界上ではLRT南北線は新琴似まで路線延長しているため路線長は現実世界より400mほど伸びて「新琴似」→「さっぽろ」間5.3km、所要時間は「新琴似」→「北24条」間に併用軌道があるため現実世界の南北線よりも所要時間は3分程度は余計にかかると仮定すると、「新琴似」→「さっぽろ」間は11分かかることになります。
 これに対して、札沼線「新琴似」→「札幌」間の13分という所要時間は、途中三駅(新川、八軒、桑園)に止まっての結果ですから、もし一駅停車程度で急行運転すれば所要時間を2分程度縮めて、LRT南北線の「新琴似」→「さっぽろ」間と同等の所要11分とするのは充分可能だと思います。

 ムチにあたる秘策は運転系統の変更です。乗客の流れに沿って運転系統を設定すると、「石狩当別」→「新琴似」(南北線乗り入れ)→「さっぽろ」→「すすきの」がメインラインとなりますが、あえてこの系統の本数を減らします。変わりに急行「石狩当別」→「新川通」→「札幌駅前」という学園都市線全線を走る系統を増発します。南北線に入るには新琴似で乗り換えを余儀なくさせることで、南北線に流入する乗客を減らすのが狙いです。●2-2で学都線の朝ラッシュ時運転間隔を5分ヘッドと想定しました。本来の乗客流動から言えば、これらの列車の全てを新琴似から南北線に直通させるべきだと思いますが、前述のように南北線の混雑緩和の観点から2本に1本は南北線に入らず「新川」経由の「札幌駅前」行きの急行にしたいと思います。
 
 以上の施策により市電南北線の混雑を緩和することで、新琴似→北24条間のラッシュ時運転間隔2分〜2分30秒間隔程度にし、なおかつ現在の南北線の混雑水準を維持することが可能と考えます。

 さて、それではこれまで検証してきた点を踏まえて、南北線北方面の運転系統につき自分なりの答えを出してみました。それが下図。
●2-1、●2-2、●2-3と●3-1でそれぞれ検証した需要予測(朝ラッシュ時)
●石狩当別→あいの里→新琴似(5分間隔)

●花畔→中央バス自動車学校前→麻生(1時間に12本・約5分間隔)

●新琴似→札幌駅前(急行)10分間隔

●新琴似→大通電車セ(各停)5分間隔

●新琴似→北24条(急行)3分間隔

●新琴似→北24条(各停)6分間隔(1時間に10本)

各系統解説
●石1(札幌駅前〜あいの里公園)
 ラッシュ時の増発が困難な南北線のバイパス的役割を果たしている系統で、札幌駅前〜新琴似間は急行運転します。全線専用軌道で、三車体連接車の2両〜3両連結が可能です。朝夕のラッシュ時に9分毎に2系統と交互に運行されます(つまり、石1・石2が重複するあいの里公園〜石狩当別間は4分30秒ヘッド)が、朝夕の南北線の混雑緩和が目的の路線のため日中は運行されません。全線石狩開発線内を走行するため、この系統の使用車輛は石狩開発車限定です。
●石2/石2(臨)(すすきの〜・あいの里教育大・石狩当別・医療大学前)
 南北線から石狩開発鉄道学都線に直通する系統で、終日9分間隔で運行されます。日中は約半数が石狩当別まで行かず、途中の「あいの里教育大」で折り返します。北24条〜新琴似間で併用軌道を走行しますが、併用軌道上の電停には停車しないため、軌道法の特別認可を受けて三車体連接車の2両連結運転が可能となっています。このため併用軌道区間は急行扱いです。本来石狩当別方面からの乗客の大半が、新琴似から南北線に乗り換えて市中心に向かうという流れになっているため、朝のラッシュ時にはもっと運行本数を増やすべきなのかもしれませんが、南北線の輸送力が限界に達しているため、これ以上列車増発ができません。不足する分は南北線のバイパス系統である石1系統が補っています。
●石3(大通電車センター〜札幌駅前〜新琴似〜花畔)
 石1と重なる系統ですが、こちらは各駅停車。八軒・新川地区の乗客をこまめに拾って札幌駅前を経て市の中心、大通に向かいます。運転距離が短いので三車体連接車1両で充分でしょう。旧形連接車が最後の活躍をしている系統かもしれません。運転間隔はラッシュ時5分、日中10分程度でしょうか。大半の列車は大通電車センター〜札幌駅前〜新琴似間の運転ですが、ラッシュ時に一部列車は花畔まで延長運転されます。
●石4/石4(臨)(すすきの/北24条〜中央バス自動車学校前/花畔)
 南北線から石狩開発鉄道石狩線に直通する系統です。北24条〜花畔間の大半は併用軌道上を走るため、軌道法による車長制限で運行車輛は三車体連接車×1両に限定されています。このため、ラッシュ時には北24条以南で輸送力不足となるため、この系統が「すすきの」まで入線するのは日中のみです。ラッシュ時は北24条〜中央バス自動車前間で6分ヘッド、中央バス自動車学校前で半数が折り返すため、以北は花畔まで12分ヘッドの運行となっています。
●南北線1系統(北24条〜下藤野)
定山渓鉄道に乗り入れる系統です。詳しくは次章にて解説します。
●南北線2系統(すすきの〜新琴似)
 石2系統を補完する系統で、9分ヘッドで運転される石2系統の間に2本挿入する形で新琴似〜北24条間を急行運転する系統で、朝ラッシュ時のみ新琴似〜すすきの間で運行されます。つまり、石2系統と2系統が重複する新琴似〜すすきの間は3分ヘッドとなるわけです。


●3−2 南北線北24条以南と定山渓鉄道について
前提条件
軌道法による車輛長制限 南北線…北24条〜南平岸間は全線が地上、または地下の専用軌道のため、軌道法による列車長制限を受けず、列車長90m(三車体連接車×3両)まで可能。

定山渓鉄道線…南北線と同条件。


■南北線北24条〜定山渓鉄道真駒内間の1時間あたり列車床総面積の値の修正 
南北線駅別乗車人員
(一日平均)
s駅名 乗車人員 朝ラッシュ時の主な乗客流動
麻生 26905 乗車
北34条 6028 乗車
北24条 14669 乗車
北18条 7823 乗車
北12条 5366 乗車
さっぽろ 52575 乗車・下車
大通 28800 乗車・下車
すすきの 19561 乗車・下車
中島公園 10452 乗車
幌平橋 5276 乗車
中の島 5494 乗車
平岸 6683 乗車
南平岸 8042 乗車
澄川 11559 乗車
自衛隊前 4411 乗車
真駒内 16807 乗車
  
 現実世界の南北線は朝ラッシュ時の真駒内〜中島公園間は主観ですが95%以上の乗客がすすきの以北に向かうと思われますので、この間の乗車人員は真駒内から北上し続けるにつれて増加し続けると考えていいでしょう。

 しかし、妄想世界では●2-4で検証したように、中島公園〜さっぽろは市電西4丁目線が地上を併走しています。ラッシュ時に中島公園から地下鉄に乗車する客は、そのほとんどがバスから乗り換えてすすきの・大通・さっぽろに向かう乗客と思われるので、そのかなりの部分は同一平面で乗り換えできる市電西四丁目線に流れることが期待できます(主観ですが7割くらい)。とすると、南方向から乗車して中島公園で下車する乗客が中島公園で乗車する客を上回るのではないかと思うわけです。
 現実世界では真駒内→すすきの間まで各駅毎に増え続けてきた(すすきの−さっぽろ間で飽和)南北線のラッシュ時の輸送量ピラミッドは市電西4丁目線があることで中島公園で飽和するのではないかと思います。
  それに伴い1時間あたりの列車床総面積の値も見直す必要があるでしょう。左記の表を参考にすると真駒内→中島公園間の南北線駅別乗車人員の合計は68742人−@。中島公園での乗車人員は10452人−A。A÷@=約0.15。つまり乱暴な計算ですが、現在の1時間あたり列車総面積を15%程度削減することができる事になります。
 
 そこで、この区間の1時間あたり列車床総面積の値の修正です。現実世界の南北線を参考に5508u(●1-1にて検証)という値を使っていましたが、上記検証により15%程度削減できる、つまり4682uで足りるという事が分かりました。よって4682u(修正された基準値)+定山渓鉄道存続による需要増864u(●2-5にて検証)=5546uが妄想世界の市電南北線真駒内〜北24条間に必要な1時間あたりの列車総面積となります。この新基準値に基づいて、市電南北線南方向の朝ラッシュ時の運転間隔を試算してみると、以下の表のようになりました。

予想される運転間隔(南北線さっぽろ〜真駒内間)
運転間隔 運用車輛の
車体幅×車体長m×連結両数=車輛総面積
1時間あたり本数(運転間隔) 1時間あたり列車床面積(u)
(車輛総面積×1時間あたり本数)
@ラッシュ時運転間隔3分00秒と仮定
車体幅2.4m×車体長30m×連結両数3両=216u
20本(3分00秒ヘッド) 1時間あたり車輛総面積4320u
新基準値5546u−4320u=
新基準値に1226u不足(混雑率(混雑率128%)
A同2分30秒と仮定 216u 24本(2分30秒ヘッド) 1時間あたり車輛総面積5184u
新基準値5546u−5184u=
新基準値に362u不足(混雑率107%)
B同2分00秒と仮定
216u 30本(2分00秒ヘッド) 1時間あたり車輛総面積6480u
新基準値5546u−6480u=
新基準値より934u過剰(混雑率86%)
 
 南北線北24条〜南平岸間、及び定山渓鉄道線南平岸〜定山渓間は、全線専用軌道のため、南北線新琴似口のような軌道法による車長制限を受けません。そのため、全線にわたって、三車体連接車×3両の運用が可能となっており、新琴似口よりダイヤについては若干の余裕があります。修正した1時間あたり車輛総面積に基づき電車運転間隔をシミュレートしてみたところ、真駒内口についてはラッシュ時には平均2分30秒間隔(上記表@)で運転すれば、多少混雑するものの、なんとかなることが分かりました。
 
 ただ、ここで問題になるのは北口方面からの系統と重複するさっぽろ〜すすきの間。乗客の流れから考えても真駒内口の系統は「さっぽろ」まで走らせたいところですが、そうするとラッシュ時には「さっぽろ〜すすきの」間は南方向からの系統が1時間に24本(一部北24条まで運転)、北方向からの系統が1時間に20本、計1時間に44本運転されることになります(平均すると1分20秒に1本)。安全面を考えたらこの区間は路面電車なみのノロノロ運転にするしかないですね。
まあ駅間距離も短いし問題ないかと思いますが・・・。
 
●2-5、●3-1でそれぞれ検証した需要予測(朝ラッシュ時)

●定山渓→簾舞 1時間に2本(30分ヘッド)
●簾舞→下藤野 1時間に4本(15分ヘッド)
●下藤野→真駒内 1時間に12本(5分ヘッド)
●真駒内→さっぽろ 1時間に24本(2分30秒ヘッド)
※北方向の系統他に1時間に20本。
●さっぽろ→北24条 1時間に10本。
※北方向の系統他に1時間に20本。

各系統解説
●1系統(北24条〜さっぽろ〜真駒内〜下藤野〜簾舞)
 南北線南方向の系統は複雑な北方向に較べて非常にすっきりしています。行き先は色々ありますが基本的には定山渓〜北24条まで一本線。さっぽろ〜真駒内間の運転本数がラッシュ時2分30秒ヘッドと最も多く、さっぽろから離れるにつれて運転本数が減っていきます。真駒内〜下藤野で5分ヘッドと半減。下藤野〜簾舞間(ラッシュ時のみ運行)は15分ヘッドとなります。電車は朝ラッシュ時には三車体連接車×3両連結。日中・早朝・夜間は三車体連接車×2両連結で運行されます。
●定山渓系統(さっぽろ〜定山渓)
1系統の急行版。唯一定山渓まで行く系統です。終日30分間隔。ラッシュ時以外は急行運転しています。停車駅は「定山渓」→「下藤野」まで各駅停車。以降「石山」「真駒内」「澄川」「南平岸」「中島公園」以降各駅停車。
●3系統平岸線(南平岸〜東札幌車庫前)
今までまったく言及していませんでしたが、南北線の車庫は一応市電時代からの「幌北車庫」と工場も併設する「東札幌車庫」の二箇所にあるという設定です。この平岸線は営業線というよりも市電南北線出入庫用の回送線の正確が強い路線です。実際地図を見ても沿線で集客力がありそうなのは北海学園と札幌東高校、東札幌に場所設定を変えた札幌ドームくらいしか見あたらないし、二点間を結ぶバス路線も存在しませんので、都会の中のローカル線といった趣になると思います。電車は朝ラッシュ時でも三車体連接車の単行15分間隔程度で充分。日中は330形のような昔ながらの札幌スタイルの単行旧型車が30分間隔でのんびり行ったりきたりしているような路線だと思います。


4 結論・・・のようなもの

 
さて、ようやく南北線の運転系統、設定が固まりました。と、言うか逆に言えばここまで屁理屈をこねまわさなければ路面電車を南北線に走らせるのは不可能ということですね。いろいろと考えた屁理屈にも無理な点が多々あるでしょうし、結果でき上がったのは路面電車である必然性がほとんどない路線でした(全線の9割以上が専用軌道だし)。分かりきったことですが、やはり南北線くらい大量輸送をする路線は地下鉄が自然ということでしょう。せめて軌道法が法改正されて路面電車の全長30m制限が撤廃されれば、日本の路面電車も欧米並のLRTに進化できるのですが・・・。今回のコラムで軌道法がいかに邪魔なものかよく分かりました。
 では最後に、これまで検証してきた南北線各系統の運転系統、運転間隔などまとめてみましょう。分かり易く朝ラッシュ時の運転本数を相対的な線の太さであらわしてみました。

運転系統 運転区間 使用車輛 連結両数 運転間隔(分)
石1 札幌駅前−あいの里公園(朝夕のみ) 石狩開発・札市交 2 朝夕9
石2 すすきの−石狩当別(医療大学前) 石狩開発・札市交 2 終日9
石3 札幌駅前−新琴似 石狩開発 1 朝夕5
日中10
石4 A(朝夕ラッシュ時)
北24条−花畔
B(日中)
すすきの−花畔
C(日中)
すすきの−新琴似
石狩開発・札市交 1 A朝夕6
B日中12
C日中12
1 北24条−簾舞
(区間運転多数)
札市交・定鉄 2〜3 朝夕2:30
日中5
2 新琴似〜すすきの
(朝夕のみ)
札市交 2〜3 朝夕3
3 南平岸−東札幌車庫前 札市交 1 朝夕15
日中30
さっぽろ−定山渓
(急行運転)
札市交・定鉄 2〜3 終日30
は石2系統を含めた運転間隔