
まず紹介するのは東旭川公民館に保存されているモハ1001。1955年(昭和30年)日本車輌製造。同時代、同メーカーの製品である富山地方鉄道14770形に似た印象の車体長18mの立派な「電車」です。当時の旭川電気軌道では、もちろん最新・最大の車両で、同形式で製造されたのは、この1両のみの、文字通りピカイチの存在でした。
電気軌道という名前からは、いわゆる路面電車タイプの小さな電車を想起しますが、旭川電気軌道の場合は、東川線で電車牽引による貨物輸送を行っていた関係もあるのか、軌道というものの床の高い「普通の」電車を使っていたことが特徴でした。このため、路面電車にありがちな乗降用ステップはなく、路面区間では道路の真ん中に朝礼台のような、ホームとも呼べない簡素な乗降台を置き乗り降りしていたそうです。
余談ですが、旭川出身の玉置浩二をリーダーとするバンドグループ「安全地帯」の名前の由来は、この旭川電気軌道の路面停留所であった言われています。
さて、このモハ1001、公民館の敷地内に屋外保存されていますが、冬期はシートに覆われてしまうため、見学できるのは例年5月のゴールデンウィーク頃から11月上旬くらいまでとなります。シートを外す時期と覆う時期は、降雪状況により一定しないため、微妙な時期に訪問を考えている場合には要問い合わせです。
車内は通常鍵がかかっていますが、公民館の職員さんにお願いして空けてもらい、車内を見学することが可能です。 この電車が現役で活躍したのはたった17年。その後40年以上の歳月をこの地で過ごしてきたわけですが、冬にはきちんと冬囲いをされているせいか、窓枠などの木部にやや劣化が見られるものの全体として保存状態は良好。この電車を維持する関係者の努力に頭が下がる思いです。
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| 40年以上静態保存され、今なお良好なコンディションを保つモハ1001 |
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連結器横に補助ライトがついているのが、唯一併用軌道を走る路面電車らしいところ。 |
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| ホームも再現されています。役場前は、保存場所の最寄りバス停「東旭川1条6丁目」の電車時代の駅名です。 |
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運転台機器。制御方式は間接自動制御とのことですが、その性能を生かして連結運転することはなかったと思います。 |
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| 車内。フローリングの床板は後年の補修によるものでしょうか。 |
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屋根上の様子。 |
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| 車内には路線図・運賃表がありました。 |
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| ネット上では見かけない冬囲いの姿を紹介します。 |
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車内に掲示されていた旭川四条駅時刻表。 |
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アクセス方法
バス利用の場合は、旭川駅前から旭川電気軌道40・46系統旭山公園入口行き又は41・47系統旭山動物園行きに乗車。東旭川1条6丁目で下車。全系統あわせて30分毎に運行されています。下車後徒歩約10分、旭川小学校裏手の東旭川公民館にあります。
ちなみに40・46系統が4条18丁目から、かつての旭川電気軌道のルートをほぼなぞって走ります。道端を砂埃を巻き上げながら走っていた往事の姿を想像しつつ車窓を楽しみましょう。40・46系統終点の旭山公園入口にあるバスの回転場が、ちょうど電車の終点、旭山公園駅があった場所だそうです。
鉄道利用の場合、旭川駅から石北本線普通列車に乗車し、東旭川駅下車徒歩約20分です。鉄道を利用した場合には、ホーローの駅名看板に要注目。正しくは「ひがしあさひかわ」ですが一か所だけ「ひがしあさひがわ」という看板があります。「あさひかわ」が国鉄時代「あさひがわ」を名乗っていた名残りでしょうか。ちょっとした遊び心で設けてあるものと思います。新旭川にも同様の「しんあさひがわ」看板があります。
また余談ですが、モハ1001の保存されている東旭川公民館の近くにある旭川市立旭川中学校と旭川小学校、中心部にあるわけでもないのに、なぜ旭川を名乗っているのかと言いますと、かつてここが「旭川村」という別の自治体だったことに由来しているそうです。
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| 「 ひがしあさひかわ」(左)と「ひがしあさひがわ」(右) |
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東川線の終点にあたる東川町にある東川町郷土館(旧東川町役場)内に、旭川電気軌道のもう一台の保存車、モハ101が大切に保存されています。保存場所は屋内で、かつ東川郷土館は開館日がかなり限定(下記開館日参照)されているため、見学ハードルは高めではありますが、開館日と訪問スケジュールがうまく合うのであれば、電車好きはぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
モハ101は1949年(昭和24年)日本車輌製。車体長12mの小形電車です。1949年に旭川電気軌道は車庫火災により、それまで保有していた多数の車両を焼失するという災禍に見舞われました。そこからの復興を遂げるべく製造されたのが、このモハ100形です。
それまで保有していた二軸単車の路面電車スタイルから、小さいながらも郊外電車のスタイルに一気に進化した100形は、まさに旭川電気軌道の車両史を変えた電車と言えると思います。全部で101~103の3両が製造された100形は、旭川電気軌道の最大勢力であり、その後廃線まで旭川電気軌道の主力として活躍しました。 現在の101号は、屋内の狭いスペースに押し込められての保存のため、残念ながら全体像を撮影することはできませんが、その分保存状態は完璧です。車内広告なども現役当時の姿のままであり、モハ1001にも増して現役時代の息づかいが感じられる、まさにタイムカプセル的な保存といえるでしょうか。 東川町郷土館はこのモハ101に限らず、旭川電気軌道関連の資料や写真展示が充実しており、鉄道ファン必見の場所だと思います。
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| 電車は、非常に狭いスペースに入っているため、全体像は鏡に映った姿をとらえるしかありません。 |
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まともに写そうとすると、このとおり。かなりの広角レンズがないと頭の一部すら撮影できません。 |
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| 側面の撮影もこのくらいが限界。このアングルだと、地下鉄っぽいですね。 |
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簡素な構造の台車。撮影は苦しいですが、そのぶんパーツごとの観察は存分にできます。 |
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| 現役さながらの雰囲気が伝わってくる車内。 |
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屋内展示のため、車内は白熱灯のあかりがともっています。 |
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| モハ 101は路面電車のように、大きな直接制御のコントローラーがついています。 |
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車内広告も残されています。これはかつて旭川電気軌道が経営していたスーパー旭友ストアの広告ですね。 |
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| モハ101以外の旭川電気軌道関連の資料展示も充実しています。 |