古城車庫訪問記 2006年2月11日
きっかけ
中国にはこういう掲示板があります。
Our Metro 地鉄・北京
北京在住の北京地下鉄マニアのための掲示板です。北京地下鉄の車両、駅、運行状況など、様々なことについて日夜活発に意見交換がされていて、見ているだけで大変面白く、かつ参考になります。私のページに掲載してある情報も、実は、ネタ元の大半は、この掲示板が出所だったりします。

ある日のこと、この掲示板に、非常に気になる書き込みがありました。
その書き込みをうろ覚えながら、思い出して再現すると、こんな感じ。

「一号線の古城車庫には、どうやっていけばいいの?」
「二つ方法があります。一つは、地鉄公司の門をくぐること。これは、入り口に門番がいて、止められるというリスクがある。もう一つは、古城路行きの入庫車に乗り、古城路についても、乗り続けること。入庫車も、地下鉄職員や、付近の住人の便宜を図って、乗車できることになっている。だから、こっちのほうが確実かな」

マジですか????

入庫車に、そのまま乗り続けて車庫まで行けるなんて、知りませんでした(後で分かったのですが、実際に入庫車に乗ることができるのは、1号線の古城車庫だけだそうです)。車庫線で、客扱いするというと、千代田線の綾瀬〜北綾瀬とか、新幹線の博多南線を思い浮かべますが、その類の路線なのでしょうか?
実際に乗車できるとなると、地下鉄路線図には載っていない幻の路線ということになります。いったい、いかなる路線なのか気にならないはずはありません。早速、おぼろげな情報を頼りに古城路車庫に行ってみることにしました。

三度目の正直
今回のレポート執筆のために、古城路車庫を訪れたのは、実は三度目になります。
過去、二回、ここを訪れて失敗した経験があり、まず本題のレポートに入る前に失敗談から書こうと思います。

一度目の失敗
2005年12月某日―
上記掲示板で情報を仕入れた翌週、早速古城路車庫に行って見ました。
私の持っている地図には、地下鉄の路線は掲載してあっても、車庫まではどこにあるのか記載されていないので、古城路で下車したあと、適当に付近を散策しましたのですが、全く見つけることができず、結局輪タクをつかまえて行ってもらうことにしました。
「地鉄車両段」
と言ったら、運転手はすぐ理解してくれて、あっという間に地鉄公司の門の前に。場所は、地下鉄の駅の蘋果園と古城路の丁度中間の古城路(地下鉄ではなく道の名前のほうね)沿いにあることが分かりました。最寄のバス停名は「楊庄」。
地鉄公司の門をくぐると、門番が
「こらこら、どこに行くんだ」
と、聞いてきました。これが、噂の門番かと内心ドキドキしつつ、
「地下鉄に乗りたいんだけど」
と答えると、
「駅はあっち」
と、右手の方角を指差してくれます。
なるほど、門番の指差すその先に、レンガ造りの小さな駅舎と、ホームの上屋らしいものが見えました。
さっそくホームへ。
一面一線の小さなホームには予想外にかなりの人がすでに電車を待っていました。

ホームの様子や、ホームの先端から見える車庫、発車時刻表などを撮影しているうちに、車庫を出庫した電車がやってきました。
おお、DK11。
早速ホームに近づく電車をカメラに収めようと、シャッターを切ろうとします。
と、こ、ろ、が、
電池切れでやんの・・・orz
写真が撮れない以上、長いは無用。他の乗客と同じように、車中の人となります。
ところで
「切符ってどこで買うんだろう?」
(この時は、妻と子と三人で訪問しています)
「そういえば・・・」
北京の地下鉄は初乗り三元。駅なら必ず切符売り場があって、職員がやる気なさそうに切符の販売をしているはず。ところが、この小さな駅には切符売り場なんてなくて、しかも、乗客も誰一人切符を買っている様子がありません。車内でのチェックもありません。
地下鉄は、何事もなく古城路に到着。そして、大勢のお客さんを乗せて、北京中心部に向かっていきます。北京地下鉄、キセル初体験です・・・。
以上が初回訪問時の顛末。写真はとれなかったけれど、来た電車には無事乗れて、幻の路線が確かに存在することが分かりましたし、出入庫の時刻表もカメラに収めることができました。ですので、失敗と言うよりは、実りのほうが大きい初回の訪問だったかもしれません。
二度目の訪問
2005年1月某日―
このサイトのサーバーを提供して下さっている、「栄冠は君に輝かない
の作者、「偉大なる千島県知事閣下」が来燕しました。どちらも負けずの鉄ヲタの私と知事閣下。北京近郊の超ローカル線、「大台線」に乗ろうと、地下鉄の終点、蘋果園よりさらに先の三家店というローカル駅までタクシーに乗ってお出かけです。

と、こ、ろ、が、
「大台線」は本日運休・・・orz
さすが、時代から取り残された超ローカル線。張り紙一枚で運休です。
と、いうことで午後の予定がぽっかり空いてしまった私達。
ならば、先日行って果たせなかった古城路車庫に行ってみようと、私は提案しました。今日は、コーカル線の情景を撮りまくる予定だったので、カメラの充電のバッチリ。これで、前回撮り逃した車庫発の電車の写真を撮ることができます。

一度訪問しているので、勝手は分かっています。古城路で下車して、すぐ輪タクをつかまえて、地鉄公司へ。門番には、何もいわれず、第一関門クリア。門を入ってすぐ右手の地下鉄ホームへ向かいます。

今回は、ホームには誰一人いません。
それも、そのはず。次発まで、30分以上ありました。折りしも厳寒の1月の北京。寒さに震えた私達は、とりあえず、外に出て、どこか暖かいところで、時間まで待機しようということになりました。

さて、時間が来たので再び地鉄公司の門をくぐります。
と、こ、ろ、が、
今回の門番は、職務に忠実で
「出入証はあるのか?」
と聞いてきます。
北京地下鉄とはなんの関係もない、いち鉄ヲタの我々がそんなもの持っているはずもなく、
「ありません」
と言うしかありません。門番は冷厳に言い放ちます。
「それでは、あなたたちは入れません」

私達は、素直に引き下がって、肩を落として家路につくしかありませんでした。
本来は関係者以外乗車禁止の地下鉄。ここから地下鉄に乗る人は出入証を必ず持っているわけなのね。前回ただ乗りできた理由が分かりましたよ。ええ。

と、いうことで、二度目の訪問は、何の成果もなく終わりました。
そして・・・
二回の訪問で、古城車庫については、以下のことが分かりました。
@幻の路線は、確かに運行されている。乗車も可能。
Aしかし、正式には乗車のためには「出入証」というものが必要。これがなければ、地鉄公司の入り口で追い返されても文句は言えない。地鉄公司に入るも入れないも、門番氏の胸先三寸。
情報としては、これで充分ではないかと思います。現に、ここまでの情報をまとめて、時刻表に載っていない中国鉄道に投稿したりもしました。
しかし、やはり心の中にもやもやしたものが残ります。
この心のもやもやの原因は、はっきりしています。出入庫する電車の写真を撮れていない。これに尽きます。
北京地下鉄のサイトを作るものとして、やはり、きっちり電車の全てが入った、きれいな写真を撮りたいと思っています。そして、きれいな写真をとるならやはり、この車庫線のような地上区間ということになるのです(地下区間だと、床下が撮れませんから)。一号線は、他に四恵〜四恵東間でも、地上を走りますが、イマイチいいポイントがなく、しかも同じようなところでとった写真ばかりがサイトに並んでも面白くありません。

やはり、行くしかないか・・・。

二度の訪問での反省点を踏まえ、今回は入庫列車に乗って訪問することにしました。幸い、時刻表を仕入れていたお陰で、「古城路」行き入庫車のおおまかな運行時間は分かっています。目指すは、四恵東発8時45分の古城路行き。四恵東発が8時45分なら、だいたい9時ちょっと前くらいに、「建国門」につくはず。この電車に乗れば、9時41分古城車庫着。その後、9時56分、10時17分、10時26分と、45分の間に三本車庫に電車が到着して撮影効率もいいはずです。

と、いうことで、2006年2月11日土曜日。三度目の古城車庫訪問を敢行しました。もちろん、カメラはばっちり充電しています!


建国門の一号線ホームに到着したのは8時43分。時間が余っていたので、四恵東側に逆走して、国貿で下車。
ここは、地下ながら、ホームが広くて電車の写真が撮りやすいと思います。



お目当ての古城路行き車両到着。車体正面右上に普段はない行き先表示「古城路」と掲示されているのが、入庫車の識別ポイント(写真は別の場所で撮影したものです)。


電車は、つつがなく古城路に到着。
ここで、大半の乗客が下車します。駅員も、「ここで終点ですよー」てなことを車内に向かって言うので、ちょっぴり不安になってしまうのですが、乗り続けるお客さんもいますし、なぜかここで終点のはずの電車に乗ってくるお客さんもいます。なので、知らん振りして私も乗り続けます。

古城路を出てしばらく走ると、ゴトゴトとポイントを通過する音がして、車庫への分岐線に入ったことが分かります。分岐線に入るとすぐ、電車は大きく右に曲がりながら地上に出ます。

この時、電車の車内で撮影した写真です。


車内から見た、外の風景。
高い塀に囲まれた敷地の中を走るので、地上区間といっても残念ながら外はあまり見れません。
(ガラスに息子が映ってしまったのはご愛嬌)


ホームに到着した電車。
旧カーブの部分にホームがあるので、一部ドアとホームの間が非常に離れている場所があります。
下車客の大半は、跨線橋を渡って、地下鉄の社宅へと消えていきます。


その跨線橋から、車庫に消えていく電車を見送りました。


次の電車が到着するまでの間、駅周辺を散策します。まずは駅舎。


こちらは、ホームの様子。


ホームの先端から、「古城路」側を見ます。


そうこうしているうちに、次の電車が到着しました。DK20形です。


跨線橋から停車中の電車を撮影すると、こんな感じ。


車庫に向かって消えていく電車。


次に到着した電車はBD2形。跨線橋を渡った反対側から撮ってみました。私のデジカメだとシャッターを押すタイミングが難しく、ちょっと切れてしまいました。


さようならー


またまたBD2形がやってきました。


ホームに停車中。その1


ホームに停車中。その2


さようならー

と、いうことで古城車庫、三度目の訪問は、大満足の結果でした。
めでたしめでたし。

ちなみにこれが、古城車庫の入り口です。
電車ではなく、バスや輪タクなどで訪れた場合は、ここが車庫の入り口になります。
運よく門番氏の追及を逃れて、門をくぐりぬけたらすぐ右に曲がってください。
正面に、ここでも紹介しているレンガ建ての駅舎が見えるはずです。

それではみなさん、GOOD LUCK!

下記の図表は、古城車両段のホームに掲示されていた時刻表を写したものです。
訪問の参考にしてください。

古城車庫出入庫車時刻表
休日
出庫時刻表(1) 出庫時刻表(2) 入庫車四恵東発時刻 入庫車古城車庫到着時刻
4:47 8:52 7:16 8:12※
4:51 14:28 8:45 9:41
4:55★ 14:46 9:00 9:56
4:59 15:01 9:21 10:17
5:05★ 15:27 9:30 10:26
5:14★ 15:47 9:50 10:46
5:19★ 16:03 10:00 10:58
5:27★ 16:10 10:24 11:22
5:47★ 16:55 10:56 11:52
6:09 17:10 11:16 12:12
6:20★ 17:43※ 16:22 17:20
6:34 19:29 16:40 17:38※
6:40★ 16:56 17:53
7:05 17:06 18:02
7:17★ 17:12 18:08
7:48 17:30 18:26
8:02 17:48 18:44
8:16※ 17:57 18:53
8:22 18:06 19:03
8:31 18:12 19:11
8:37 18:27 19:23

古城車庫出入庫車時刻表
平日
出庫時刻表(1) 出庫時刻表(2) 入庫車四恵東発時刻(1) 入庫車古城車庫到着時刻(1) 入庫車四恵東発時刻(2) 入庫車古城車庫到着時刻(2)
4:47 14:12 7:17 8:13※ 18:16● 19:25●
4:51 14:29 7:26 8:22 18:42 19:39
4:55★ 14:53 7:32 8:28 19:37 20:33
4:59 15:12 7:47 8:43 21:18● 22:34●
5:03★ 15:23 7:59 8:55 21:39● 23:49●
5:11★ 15:42 8:05 9:01 21:59● 23:06●
5:17★ 15:53 8:11 9:08 22:15● 23:20●
5:22★ 16:09 8:23 9:20 22:30● 23:35●
5:27★ 16:21 8:35 9:31 22:45● 23:50●
5:37★ 16:45 8:43 9:39 23:00● 0:05●
5:46★ 17:45※ 9:01 9:58 23:15● 0:20●
5:50★ 9:32 10:28
5:57★ 16:44 17:40※
6:01 16:52 17:52
6:07★ 17:08 18:04
6:15 17:20 18:16
6:21 17:26 18:22
6:27 17:35 18:31
6:36 17:53 18:49
6:42 18:01 18:57
6:51 18:12 19:08

時刻表は2006年2月11日現在のものです。


※印は、ホーム折り返し列車です。古城車両段のホーム到着後、入庫せず、そのまま古城路に折り返します。
★印は、「蘋果園」行きです。出発後、本線に合流したあと、「古城路」に向かわず、渡り線を利用して折り返して、「蘋果園」に向かいます。
●印の列車は、入庫車ですが、「古城路」ではなく「蘋果園」行きです。「蘋果園」到着後、そのまま折り返し「古城路」方向に戻り、渡り線を利用してスイッチバック。古城車両段に向かいます。