中国の鉄道は、欧米諸国や日本などの列強が主体となって、各地方ごとに独自に建設されていったのが特徴だ。その成り立ちから、路線規格や導入される機関車は統一されておらず、1881年に中国で初めての0号機関車が登場してから、1996年に最後の新製蒸気機関車上游1772号が唐山工場を出場するまでに実に200型式余りの機関車が現れては消えていった。
その機関車の生産国 についても中国はもちろん、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランス、日本、ベルギー、チェコ、ポーランド、ソ連の10ヶ国に及ぶ。そして、蒸気機関車の在籍数が最大に達した1979年には実に7900両余りが、全国各地で煙を上げていたという。中国はまさに世界屈指の蒸気機関車王国であったと言えよう。
その後の淘汰により初期の輸入機関車は姿を消し、現在残るのは、前進、建設、上游の三機種。いずれも中華人民共和国成立後に製造された国産機関車で、主力機として、前進型、建設型は1988年まで、上游型は1996年までの長きにわたり製造され続けたベストセラーだ。
前進型は本線貨物用機関車で、現役では世界最大最強の巨人機。建設型は中型の貨客万能型、上游型は入換え、小運転用の小型機関車で、日本の機関車にたとえるなら、軸配置は違うものの、それぞれD52、D51、C56に相当すると言える。ただし、これはあくまでも利用環境をたとえての話。全長は、中国では小型の部類に入る上游型でさえ日本最大のC62に匹敵し、中国最大の蒸気機関車、前進型の運転整備重量は253トンと、C62のおよそ1.7倍だ。中国鉄道博物館には、日中戦争期に日本から持ち込まれた9600型機関車が歴代の中国機関車と肩を並べて展示されているが、日本では決して小さいとはいえない9600型も、居並ぶ標準軌機関車と比べると、まるで大人と子供のように見える。
その巨体から吹きだすブロアー、黄土の大地を揺るがすドラフト、凍てついた空気を切り裂く警笛、くろがねの巨人たちが奏でる鉄のプレリュードは、今も世界の蒸気機関車愛好家の心を惹きつけてやまない。 |