鉄道とバスで行くお手軽ラッセル撮影ガイド(2017~2018シーズン版)

 日本で唯一、シーズンになると定期的にラッセル車が運行される宗谷本線・石北本線。
 雪を豪快にはね飛ばしながら進むその姿は、雪上を行く軍艦にもたとえられ、近年多くの方が撮影に訪れるようになっているようです。
 しかし、ラッセル車撮影というと、レンタカーを借りて冬道を動き回る、北海道に慣れた玄人向きの撮影行だと思われていないでしょうか。
 もちろん、宗谷本線の名寄以北については、車がないと撮影は困難なのですが、宗谷本線の名寄以南や石北本線のラッセル車については、鉄道と平行してバス路線が設定されていることもあり、バスと鉄道の組み合わせで充分に撮影することが可能です。
 当コーナーでは、バスと鉄道を駆使したラッセル車の撮影コースをご紹介いたします。

注意
 当コーナーでの「お手軽」とは、あくまでも交通機関がお手軽ということです。ラッセル撮影自体は、氷点下の中で行う肉体的・精神的負担の大きな撮影行だということは常に心掛け、防寒(特に、下半身・顔・耳)には充分な配慮をお願いします。
 また、ここで紹介する撮影コースには、かなり急いで徒歩移動したり、場合によっては走る必要のある行程も多数登場します。汗をふくためのタオルと着替えは用意したほうが無難です。身体を動かした直後は暑いですが、気温はほとんどの場合氷点下ですので、汗を拭かないでいると身体が冷え、すぐ風邪をひいたり、体調を崩してしまいます。

ラッセル車の撮影は、運との闘いである。
 
豪快に雪をかき分けながら進むラッセル車の雄姿を誰しも撮影したいと思うところですが、常に期待通りの「絵」が撮影できるわけではないところが、ラッセル車撮影の難しさであり、面白さでもあります。
 大雪が降った直後に快晴になるのがベストコンディションと言えますが、勿論そんな条件が揃う日はめったになく、晴れてはいるが雪量が少ない、逆に猛吹雪でロクな写真が撮れないなど、なかなか好条件は揃わないものです。
 かと思えば、晴天が続き、豪快なラッセル作業など全く期待していなかったところに、思わぬ吹き溜まりが発生し、たまたま雪を巻き上げることもあるなど、本当に何が起きるかは出たとこ勝負。こればかりは撮影してみなければ分かりません。
   
本来はこんな迫力ある写真ばかり撮れれば良いのですが、そうそううまくは行かず。 ラッセル車がやってきたけど、雪が少なく一切仕事をしませんでしたの図。 ラッセル車は豪快に仕事をしているけど、猛吹雪で一切写真に撮れませんでしたの図。



撮影地は条件との兼ね合いで
 ある程度有名な撮影地で撮影すれば、それなりの「絵」が撮れる普通の鉄道写真と違い、一筋縄ではいかないのが、ラッセル車の撮影です。
 ラッセル車の撮影で最も一般的なのは、真正面を望遠で狙う構図であり、「定番」と言われる撮影地の多くは、この構図で撮影できることが条件になっているようです。しかし、こうした定番撮影地での撮影が「生きる」のは、ラッセル車が期待どおりにラッセル作業をしてくれればこそであり、もしラッセル作業をしなければ、なんら面白味のない写真になってしまいます。
 もし快晴ではあるが雪は少なく、ラッセル作業が期待できないということであれば、例えば大雪山をバックに、やや遠目を狙ってみるとか、猛吹雪で雪が激しく降っている場合には、望遠圧縮による白潰れを避けるため、あえて望遠を使わず通常レンズで狙ってみる等、天から与えられた条件を自分の経験と照らし合わせ、いかにベストな撮影地や撮影場所を選んでいくかが、ラッセル撮影の難しさであり、醍醐味であるとも言われています。
 こうした奥の深さが、一冬に何度も通うという、多くのハードリピーターを産んでいるのでしょう。
 
 晴天時には、絵になる背景との組み合わせを狙ってサイドから撮るのも面白い。

望遠レンズは絶対ではないが、欲しい。
 できれば望遠レンズはあったほうが良いです。
 ラッセル車は基本的に踏切付近から撮影する機会が多いと思いますが、ラッセル車は、踏切や駅の通過時には人や車に配慮して除雪作業を行いません。遠方ではフランジャーを下げウイングを開き、盛んにラッセル作業をしているものの、引き付けて撮影しようとしたところ、踏切に近づく頃には作業をやめてしまい拍子抜け、ということがよくあります。狙うのは遠方でラッセル作業している姿であり、そのためには望遠レンズはあったほうがよい ということです。
 ラッセル車の人気撮影地の条件の一つに「跨線橋」があげられます。跨線橋を通過する場合には、踏切通過時のように、雪を横に弾き飛ばすことに対する配慮は必要なく、より迫力のある「絵」を間近でも撮ることができるためです。望遠レンズをもっていない場合には、こうした「跨線橋」を選んで狙うのも一つの手でしょう。
 最後になりましたが、ラッセル車は踏切がないところでは、遠慮なく左右に雪を跳ね飛ばします。くれぐれもラッセル車に近づきすぎて、作業の邪魔をすることのないよう、また雪の洗礼を浴びぬよう、ご注意をください。雪ならまだしも、時折線路上の石も混じって飛ばすことがあります。当たったら間違いなく怪我をしてしまいます。

ラッセル車の運行時期について
 要確認ですが、例年石北ラッセルは12月15日から、宗谷ラッセルは12月20日から、それぞれ3月中旬頃まで運行しているようです。
 ただし12月~1月上旬は日が短く、ラッセルが運行される時間帯に撮影が可能なエリアは限られてきます。
 3月に入ると日が長くなり、宗谷ラッセルは士別まで、石北ラッセルは上川まで撮影可能となりますが、今度は降雪量が少なくなるため、迫力あるシーンを望むことが難しくなります。また場合によっては、運行を行わない日も出てきます。
 日の長さと、ラッセルシーンをはかりにかけたピークシーズンは、1月中旬から2月下旬までとなるでしょう。

お役立ちサイト バスキタ旭川
  当ガイドは、鉄道と路線バスを駆使してラッセル車を撮影することを主眼としています。ところが、路線バスは特に冬季は遅れがちであり、正確な運行時刻がつかめません。
  そこでオススメなのが、バスキタ旭川
  このサイトで、道北バスと旭川電気軌道のバスの運行状況が一目瞭然で把握できます。撮影の際に活用すると便利です。


路線別ラッセル車撮影ガイド
石北本線 撮影後の移動可能地点 撮影可能時期 
●新旭川・南永山 新旭川→宗谷本線 永山・北永山・比布へ移動可
南永山→宗谷本線 永山・北永山・比布へ移動可
12月から可
●東旭川・北日ノ出 12月から可
●桜岡・当麻 桜岡→宗谷本線 北永山(徒歩)
当麻→宗谷本線 南比布・比布・北比布へ移動可(タクシー)
12月から可
●将軍山/伊香牛 将軍山→宗谷本線 永山・北永山・比布へ移動可
      石北本線 中愛別以遠へ移動可
伊香牛→宗谷本線 永山・北永山・比布へ移動可
      石北本線 中愛別以遠へ移動可
12月から可
●愛別 石北本線 中愛別以遠へ移動可 12月から可
●中愛別/愛山/安足間 石北本線 中愛別以遠へ移動可 12月から可(中愛別手前)
1月中旬から可(中愛別以遠)
宗谷本線 撮影後の移動可能地点 撮影可能時期
●永山・北永山    永山12月から可
●南比布 塩狩以遠に移動可 永山12月から可
●比布 塩狩以遠に移動可 永山12月から可
●北比布・蘭留 塩狩以遠に移動可 1月中旬から可
●塩狩・和寒・士別 塩狩1月中旬から可
和寒2月下旬から可
士別3月上旬から可












ここで紹介している鉄道・バスの時刻はあくまでも参考です。
正確な時刻については、必ず事業者の公表している公式のものを確認いただくようお願いします

またラッセル車の運行時刻については非公表であり、これはあくまでも目安にすぎません。表記の時間と異なり、それによって不利益が生じたとしても、自己責任となりますので、ご了承ください。